Conference

Basic information

Name Tagawa Michihito
Belonging department
Occupation name
researchmap researcher code B000287587
researchmap agency Okayama University of Science

Title

犬悪性黒色腫における循環腫瘍遺伝子の検出

Author

田川道人,吉竹涼平,佐伯亘平

Journal

第167回日本獣医学会学術集会

Publication Date

2024/09/13

Invited

Not exist

Language

Japanese

専門研究会・委員会報告

Conference Class

Domestic conferences

Conference Type

Verbal presentations (general)

Promoter

Venue

帯広市

URL

Summary

【背景と目的】循環腫瘍遺伝子(以下ctDNA)とは血中を循環するがん細胞由来の遺伝子であり、がん特異的なバイオマーカーとして医学ではすでに臨床実装され個別化医療に応用されている。獣医療において特異性の高い腫瘍マーカーはほとんど検討されておらず、臨床経過におけるctDNA解析に関する情報は存在しない。そこでイヌ悪性黒色腫を対象にctDNAの検出とバイオマーカーとしての有用性について検討を行った。
【材料と方法】口腔内悪性黒色腫を有する犬2症例から腫瘍組織と末梢血2mlを採取し、組織DNA、PBMC由来DNA、cell-free DNAを抽出した。得られた腫瘍組織およびPBMC由来DNAをエクソーム解析に供し、腫瘍に特異的な遺伝子変異を検出した。変異遺伝子からヒト悪性黒色腫について報告のある遺伝子を選択し、cell-free DNA中の変異アレル頻度をdPCRを用いて算出した。なお症例は定期的な採血を実施し、変異アレル頻度と臨床経過との比較を行った。
【結果】エクソーム解析の結果をもとに、症例①はARID1Ap.Ser1784fs、症例②はSPTBN1p.Asn795fsを選択しdPCRを設計、両者ともプローブ検証によりctDNAを検出可能であった。症例①では診断時ctDNAが0.01%で認められたが治療により消失し、経過観察中に再度増加、その後転移がみられた際には0.12%へと上昇した。症例②では、診断時ctDNAが0.11%であり、徐々に増加し臨床的に腫瘍の増大がみられていないポイントで1.35%まで増加、その約2か月後に再増大が確認されたがctDNAは低値で推移した。
【考察】犬においてもctDNA検出による治療効果モニタリングは有用である可能性が示唆された。症例②の再増大後の低値は検出感度の問題やSPTBN1変異を持たない腫瘍サブクローンの台頭などが考慮される。ctDNAはがんの動態を反映する特異性の高い腫瘍マーカーであり、今後実臨床に展開されるPrecision Oncologyを見据えた更なる検討が必要である。