分散ファイルシステムを採用しているデータセンターネットワークにおいては、多数のサーバが、ほぼ同時に、1台のクライアントに向けてデータを送信しようとすることがしばしば起こる。このとき、イーサネットスイッチのポートにおいてバッファーオーバーフローが起こり、スループットが0に近い値に急落する状況(インキャスト)が起こってしまうことがある。本研究の目的は、分散ファイルシステムにおいて、各サーバのデータ送信終了時間の公平性を気にする必要はなく、全サーバがデータ送信を終了するための時間が重要であることに着目して、サーバからのデータ送信を直列化することにより、インキャストを回避しつつスループットを最大にする方法を考案し、実際に実験ネットワークでその有効性を実証することである。
2021年度は、データセンターネットワークにおける各リンクの伝送速度、イーサネットスイッチのポートバッファサイズ、サーバから送信されるデータ量(ユニットサイズ)等が与えられた時、インキャストを回避し、かつ、スループットを最大化できる同時設定(同時に並列化できる)コネクション数を求めることができる方法(拡張コネクション直列化法)の有効性に関して、2020年度に引き続いて検証した。
また、高精度のカーネルタイマーを使用して、最小タイムアウト値を従来の200ミリ秒から数100マイクロ秒にすることにより、インキャストを回避しようとする従来の方法をベースとして、クライアントからサーバに再送要求を出すことで、インキャスト回避の可能性を高くできる方法を2019年度に提案し、2020年度はこの方法を改良したが、エラーを内在していたので、2021年度はさらなる改良を行った。
さらに、上述した方法を統合して、実際のデータセンターネット上で動作できるようにするための基礎的検討を行った。