Conference

Basic information

Name Katayama Seiichi
Belonging department
Occupation name
researchmap researcher code 1000052332
researchmap agency Okayama University of Science

Title

ウェルシュ菌VR-RNA欠失株におけるα毒素遺伝子プロモーター上流に存在する phased A-tractsの機能

Author

城 愛未、松永 望、片山 誠一

Journal

第77回日本細菌学会中国・四国支部総会

Publication Date

2024/10/05

Invited

Not exist

Language

Japanese

学会講演(シンポジウム・セミナー含む)

Conference Class

Domestic conferences

Conference Type

Verbal presentations (general)

Promoter

日本細菌学会中国・四国支部

Venue

岡山県岡山市

URL

Summary

【目的】

ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)は複数の毒素を産生する。その中の一つα毒素(ホスホリパーゼC)は、ガス壊疽の原因毒素として知られている。α毒素遺伝子(plc)の発現は、vrr遺伝子がコードするsmall RNA分子, VR-RNAを介して二成分制御系であるVirR/Sによって促進される。一方、plc遺伝子のプロモーターの上流には、5〜6個のアデニンが連なったA-tractが3回周期的に現れるphased A-tracts(3A)が存在する。この配列によって低温依存的にplc遺伝子の発現が促進されることがin vitroで明らかになっている。本研究では、phased A-tractsの機能を明らかにするために、VR-RNA欠失株(Dvrr)およびphased A-tractsをA-tractがない配列に置換した株(0A)を作製し、これらの変異株のα毒素(PLC)産生とplc遺伝子発現量を調べた。
【方法】
VR-RNA欠失株(Clostridium perfringens HN13 Dvrr)と0A株は、in-frame deletion法を用いて作製した。ウェルシュ菌は、GAMブイヨン培地を用いてOD600 = 0.8まで25℃、30℃、37℃で静置培養した。培養上清中のタンパク質をトリクロロ酢酸(TCA)で沈殿させてサンプルとした。抗α毒素C末端ドメイン(PLC-C)抗体および抗GAPDH (glyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase)抗体を用いたウェスタンブロット法によりPLC産生量を調べた。α毒素(PLC)とGAPDHのバンドの強度は “ ImageJ ”を用いて測定した。plc遺伝子の発現量は、ウェルシュ菌菌体のtotal RNAを精製し、リアルタイムRT-PCR法を用いて調べた。
【結果と考察】
PLC産生量は、VR-RNA欠失株(HN13 Δvrr)では、野生株(HN13 (3A))に比べて 1/5 から 1/2 に減少した。そのPLC産生量は低温で有意に増加した。0A株では、PLC産生量は1/14から1/5に減少し、低温依存的な増加は認められなかった。HN13 Δvrr (3A)株では、有意ではなかったが、plc遺伝子の転写レベルは約1/2に減少した。0A株では、plc遺伝子の転写レベルは1/46から1/7に減少した。plc遺伝子の転写レベルは、PLC産生量と一致していた。Δvrr変異体にvrr遺伝子を相補すると、plc遺伝子の発現が約2倍上昇した。HN13 Δvrr /pJIR418(3A)とHN13  Δvrr /pvrr(3A)の両方でplc遺伝子の転写レベルは低温依存的に有意に上昇した。以上の結果から、phased A-tractsはin vivoにおいてもplc遺伝子の発現を低温依存的に促進していることが示された。VR-RNAは、plc転写後に2倍程度、その発現量を増加させていると考えられた。尾花らは、VR-RNAがκ毒素mRNAの安定性に寄与していること報告している。それと同様にVR-RNAは、α毒素mRNAの安定性に関与している可能性が考えられた。