コンピュータなどの回路や基板を作成する際,はんだ付けが利用されている。はんだ付けの工法としては,(1) リフロー工法,(2)傾斜式噴流工法,(3)全面噴流工法が挙げられる。リフロー工法は各チップにクリームはんだを付け加熱するため,材料や工法などの面からコスト高になる。傾斜式噴流工法は基板を傾斜面横向きに移動させる方式であるため,設置場所から大きくなるデメリットがある。全面噴流工法は基板を上から溶融はんだに浸漬させるだけであり,機構的にシンプルである。また傾斜型噴流工法の装置と比較して全長が1/3,設置面積が約1/4となり,設置場所に関して大きなメリットを有する。しかし,全面噴流工法ははんだ付け不良が多く発生する問題を抱えている。このはんだ付け不良の発生原因として,フラックスが高温である溶融はんだと接触し気化することにより基板下に気泡が発生し,その気泡が溶融はんだの基板への接触を阻害しているのではないかと考えている。ここでフラックスとは,母材(部品電極や配線板の電極など)の金属表面の酸化被膜や表面被膜を除去し,はんだが付く状態にするものである。
本研究では,まず基板下の気泡の存在を確認し,その上で数値シミュレーションを用いて流れの制御を行い,気泡の除去の方策を模索する。