近年は衛生器具の節水化が進んできており、衛生器具仕様により使用水量が変化してきている。また館内の人数や男女比率等により生じる水使用行為の違いにより給水負荷の変化も考えられる。
そこで、動的給水給湯負荷算定法(MSWCプログラム)を用いて使用給水量を算出し、定数的に扱われている上水・雑用水比率と、時間平均予測給水量に対する瞬時最大給水量予測係数K値について、それらの数値の妥当性について検討する。
上水および雑用水使用水量の算定値は、上水は10 L/ (人・d)、雑用水は概ね従来型の場合は20~45 L/ (人・d)、節水型の場合は10~20 L/ (人・d) となり、女性比率が大きくなると雑用水使用水量が大きい数値となる。上水・雑用水比率の算定値は、節水型の場合は概ね3:7~4:6と従来値とほぼ同じとなるが、従来型の場合は2:8 となり従来値より雑用水の比率が大きくなる。
K₁ については、衛生器具仕様や館内人数による変化はほとんど無く、1.1~1.3となる。K₂ については、2.0~4.5となり、既存数値4)よりやや小さめになる。館内人数が多くなるとK₂はより小さくなる。秒レベルの瞬時最大給水量予測係数K₂′ については、館内人数により数値が大きく変動する。特に、従来型衛生器具を使用し館内人数が比較的少ない場合はK₂′ が大きくなるので注意が必要である。節水型衛生器具を使用する場合は、概ね既存数値と近い数値となった。