大規模可視化を実現する装置としてタイルドディスプレイが挙げられるが,高解像度可視化装置の必要性は,災害時などにおける情報共有手段として期待されている.被災情報,避難経路などの情報共有手段として複数人が同時に情報を得ることができるタイルドディスプレイは,一方で構築にかかる機器や設定の複雑性から一時的に組み立てることが難しい.
タイルドディスプレイを構成する機器は,ディスプレイノードに高いメモリバンド幅性能やグラフィック表示能力が求められ,比較的高価なPCが必要としていた.一方で,Paspberry Piなどに代表されるシングルボードコンピュータは,PCと同等の性能でありながら,安価なコンピュータとして普及しつつある.シングルボードコンピュータの普及は,PCやワークステーションに置き換わることで消費電力や低コストなどが期待されている.
そこで本研究課題においては,安価でかつ設定が不要な一時的に構築するタイルドディスプレイシステムの実現を目指し,3つの課題を設定している.[i]可視化装置構築時におけるOS仮想化技術の広域マイグレーションの実現可能性の検討,[ii]シングルボードコンピュータを用いたタイルドディスプレイシステムの検討,[iii]タイルドディスプレイシステムを実装する上で複雑な設定を不要とするゼロ・コンフィグレーションの実現である.初年度にあたる本年度は,[i][ii]の研究課題,シングルボードコンピュータを用いたタイルドディスプレイの実現について取り組んだ.