Competitive research funds

Basic information

Name Satou Tomohiko
Belonging department
Occupation name
researchmap researcher code B000334895
researchmap agency Okayama University of Science

Title

原生代末期-古生代初期における環境変動・生命進化

Provider

日本学術振興会

System

科学研究費助成事業 特別研究員奨励費

From Date

2011

To Date

2012

OwnerRole

 

Author

佐藤 友彦

Category

特別研究員奨励費

Summary

地球生命史において最も重要な時代である原生代.古生代境界(約5.4億年前)前後の環境変動・生物進化の解明を目的とし、以下の1、2に焦点を絞り、研究を実施した。
1.深海の酸化還元環境:原生代末期エディアカラ紀における海洋酸素濃度増加が、カンブリア紀における爆発的な生物進化の一因と考えられてきたが、その詳細な時期・過程は不明であった。申請者は、エディアカラ紀の遠洋深海堆積岩(チャート)が主要鉄鉱物として赤鉄鉱を含み、酸化的な堆積環境を示すことを明らかにした。また、顕生代のチャートを検討し、還元的環境下では黄鉄鉱を含むことや、鉄化学組成の二次的な変化が定量的に判別可能であることを明らかにした。原生代末期から顕生代を通して、数回の海洋無酸素事変を除けば、遠洋深海は基本的に酸化的であったことを、統一的な基準に基づいて明らかにした。
2.SSF多様化:古生代初期カンブリア紀における爆発的進化の第一段階であるSSF(small shelly fossil)多様化、および、同時期に起きた地球史上でも稀なリン酸塩岩の大規模堆積事件の解明を目指し、申請者は、SSFを多産する当時のリン酸塩岩層(中国雲南省)の岩相層序、SSF化石層序、炭素、ストロンチウム同位体層序を詳細に検討した。
特に、岩相観察から,リン酸塩岩の初生的な堆積場およびSSFの棲息場が、ともに極めて浅い海であったことを明らかにした。この新知見から、リン酸塩岩の成因が、従来考えられてきた「リンに富む深海水の湧昇」ではなく、「閉鎖的な浅海におけるリンの濃集」であることが示唆された。さらに申請者は、複数地域での野外調査に基づき、プルーム活動由来のアルカリ火成岩の削剥がリンの起源であるという仮説を提唱した。閉鎖的な湾岸における特異な海水環境が後生動物初期進化の場であった、という推察は、地球生命史研究に極めて重大なインパクトを与えると予想される。

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