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モンゴル国ゴビ砂漠に分布する下部白亜系 Tsagaantsav 層 (Hauterivian–Barremian)から,尾部スパイク,複数の遠位尾椎,背部プ レートを含む剣竜類化石が単一ブロックとして産出した.剣竜類はジュラ紀後期には汎世界的に広く分布する一方,白亜紀の記録は世 界的にも乏しく,アジアにおける白亜紀剣竜類のスパイク標本はこ れまで知られていなかった.本標本では,2 対 4 本のスパイクが尾椎群と近接して保存され,左右対称の 2 本ずつがサイズおよび形態において対応すること,さらにすべての要素が単一ブロック中に密集して産出したことから,単一個体に由来すると判断される.スパイクは膨らんだ基部から先端に向かって漸減する円錐状の外形を示 し,大きな髄腔を囲む厚い皮質骨からなる内部構造をもつ.一方, 同時代にスパイク状の皮骨をもつ鎧竜類に特徴的な structural fiber bundles の発達や,大きな髄腔を欠き,皮質骨と海綿骨のみか ら構成される内部構造は認められない.プレートは三角形を呈し, 基部はふくらみ,多数の栄養孔を備えるが,鎧竜類の皮骨にみられる 深い陥凹は示さない.尾椎の椎体は前後面観で亜三角形から楕円形, 側面観でほぼ正方形を示し,前関節面はほぼ平坦で,後関節面は凹 面をなす.これらの特徴は,本標本が剣竜類に属することを支持す る.今回の発見により,白亜紀の剣竜類もジュラ紀後期以降の派生 的剣竜類と同様に,2 対 4 本の尾部スパイク,円錐形の外形,厚い 皮質骨と大きな髄腔を有することが明らかとなった.対照的に,ジュラ紀中期の基盤的剣竜フアヤンゴサウルスでは,スパイクはより扁平で,内部構造もより海綿質である.以上から,頑強な2対の尾部スパイクは剣竜類の系統進化の過程で獲得され,少なくともジュ ラ紀後期以降,白亜紀前期までその形態的保守性が維持されていた可能性が示唆される. |