Conference

Basic information

Name Saneyoshi Mototaka
Belonging department
Occupation name
researchmap researcher code B000360061
researchmap agency Okayama University of Science

Title

兵庫県東部に分布する下部白亜系大山下層の堆積環境と凝灰岩の研究

Author

辻 光彦 ,澤田 順弘,田中 公教 ,実吉 玄貴

Journal

日本地質学会第132年学術大会

Publication Date

2025/09/15

Invited

Not exist

Language

Japanese

Conference Class

Domestic conferences

Conference Type

Poster sessions

Promoter

日本地質学会

Venue

熊本大学

URL

Summary

下部白亜系篠山層群は兵庫県東部の丹波市から丹波篠山市に分布し、恐竜類をはじめとする多様な脊椎動物化石を産出することで知られる。篠山層群は、下部の大山下層と上部の沢田層に区分され、脊椎動物化石は大山下層から産出する。大山下層の層序学的・地質年代学的研究は、産出するカイエビなどの微化石に基づく生層序学的検討、最下部に挟在する凝灰岩の岩相に基づく層序対比、これらの凝灰岩に含まれるジルコンを用いたU-Pb年代などから検討されてきた。しかしながらジルコンは、基盤由来の砕屑性である<!--[if !supportAnnotations]-->可能性もあり、その場合、堆積年代とは異なる。したがって、ジルコンを含む凝灰実態<!--[if !supportAnnotations]--><!--[endif]-->を明らかにすることは重要である。また凝灰岩は地層の対比に有効である。加えて水域に降下した火山砕屑物の産状は、水域での分級過程を示し、定置後はその場の堆積過程や環境を反映している<!--[if !supportAnnotations]-->。<!--[if !supportAnnotations]--><!--[endif]-->そこで本研究では大山下層中の凝灰岩に着目し、その詳細を記載する。大山下層中の凝灰岩は3地点で観察を行った。ここでは大山下層の<!--[if !supportAnnotations]-->模式地である大山下ルートに分布する凝灰岩について報告する。大山下ルートでは異なる2層に白色から暗緑黄色を示す火山砕屑物を含む地層を認めた。<!--[if !supportAnnotations]-->火山砕屑物を含む地層は、2層とも<!--[if !supportAnnotations]-->凝灰岩と凝灰質砂岩に大別される。凝灰岩前者はさらに塊状凝灰岩と層状凝灰岩に区分される。2層のうち<!--[if !supportAnnotations]-->下位の地層は、塊状を示す層厚2m程度の凝灰岩と、層状に分布する層厚5m程度の凝灰岩質砂岩層からなり、20のユニットに区分される。より上位の地層は、塊状を示す層厚1m程度の凝灰岩ユニットと、層状に分布する層厚2m程度の凝灰岩質砂岩層からなり、6のユニットに区分される。凝灰質砂岩には多くの堆積構造が保存されている。特に級化構造や不明瞭な葉理を示す複数のユニットが、浸食面を示さずシート状に累重し、一部にウェーブリップル葉理も認められた。これらの堆積構造は、水域内で発生した重力流による堆積過程を強く示唆する。層状凝灰岩には級化構造が認められることから、これらは水域に降下した火山砕屑物が浮遊・沈降の過程を経て堆積したと解釈できる。火山砕屑物としての本質物を明らかにするためには分級が起こっていない塊状凝灰岩が有効である。そこで本研究では切り出した塊状凝灰岩について、肉眼観察、染色試料、偏光顕微鏡記載、X線マイクロアナライザー(EPMA)分析、蛍光X線(XRF)による全岩化学組成分析を行った。塊状凝灰岩は以下のようなものから構成される。軽石片、babble wallと fiber type火山ガラス、結晶片、変質や風化した鉱物片、細粒の基質からなる。結晶片は長石、石英、鉄鉱、アパタイト、ジルコン、黒雲母からなる。これらのうち長石は曹長石とカリ長石の端成分に近い値を示すことから2次的に変わったものと考えられる。黒雲母は緑泥石化している。他の鉱物は初生的な組成を持っているので分析対象とした。babble wallタイプの火山ガラスには脱ガラス化していない粒子もあり、その組成は以下の通りである。SiO2=wt%, TiO2=wt%, Al2O3=wt%, Fe2O3=wt%, MnO=wt%, MgO-wt%, CaO-wt%, Na2O=wt%, K2O=wt%, P2O5=wt%。