Conference

Basic information

Name Saneyoshi Mototaka
Belonging department
Occupation name
researchmap researcher code B000360061
researchmap agency Okayama University of Science

Title

モンゴル国ゴビ砂漠の上部⽩亜系より産出した哺乳類化⽯につい て

Author

⼤越司・千葉謙太郎・名取真⼈・⾼崎⻯司・⻄村玲・⾼橋亮雄・実吉⽞貴・B. Buyantegsh・B. Mainbayar・Z. Badamkhatan ・K. Tsogtbaatar

Journal

日本地質学会 西日本支部 令和7年度総会 第176回例会

Publication Date

2026/02/22

Invited

Not exist

Language

Japanese

学会講演(シンポジウム・セミナー含む)

Conference Class

Domestic conferences

Conference Type

Verbal presentations (general)

Promoter

日本地質学会 西日本支部

Venue

岡山理科大学,岡山

URL

Summary

ゴビ砂漠に広く分布する上部白亜系は、多丘歯類をはじめとした哺乳類化 石を多産すること、また極めて良好な保存状態を示す例も多いことで知られ、それらの化石記録は白亜紀の内陸部における哺乳類の進化史に対する理解の基盤となっている。しかし、保存が良好な哺乳類化石の産出は風成層を主体とする層準に集中し、環境の多様性や層序を通じた時間的変遷の評価は制限され、上部白亜系全体を通した哺乳類相の包括的な理解の妨げとなっている。このような課題を背景に、岡山理科大学はモンゴル科学アカデミー古生物学研究所と連携し、研究例が比較的少ない Bayanshiree 層および Javkhlant 層 を対象とした共同調査を行っている。両層は河川成層を主体とし、前者はセノマニアン期からサントニアン期に相当し(Kurumada et al., 2020)、後者はこれを整合に覆うサントニアン期からカンパニアン期の層準とされる(Eberth et al., 2009)。 調査の結果、両層準から複数の哺乳類を含む、数多くの小型脊椎動物化石が発見された。Bayanshiree 層からはトリゴニッドと近心根を保存した臼歯状歯、 伸長した形態を示す遊離歯や遠位部を欠く踵骨が産出した。臼歯状歯のトリ ゴニッドは前後方向に狭く、発達したプロトコニッドと唇舌側に水平なプロトクリスティッドを持っており、これらの形態は同層産の真獣類(Lopatin and Averianov, 2023)に類似する。遊離歯にみられる外部形態、断面形状やエナメル質の分布は真獣類 Zalambdalestidaeに特徴的とされる第一切歯の形態と一致する。踵骨は直線的な踵骨隆起と比較的明瞭な距骨関節面といった真獣類様の形態を呈する。Javkhlant 層からは部分的な下顎骨二点が発見された。 内一点は保存状態が悪く形態観察が困難だが、CT 撮影により歯冠を保存する犬歯から第三小臼歯と第四小臼歯から第一大臼歯近心根に至る歯根ならびに下顎体腹側を前後方向に走る歯根が確認された。腹側の歯根の形態から Zalambdalestidae に帰属する可能性が示唆され、系統解析からも支持された。もう一点はまだ剖出が完了していないため詳細な形態は不明であるが、大臼歯の形態と数から真獣類に帰属する可能性が示唆される。これらの標本の予察的な分類学的検討と先行研究を総合すると、両層の哺乳類は後獣類の一標本(Rougier et al., 2015)を除き、真獣類に同定されている(e.g. Lopatin and Averianov, 2023; Okoshi et al., 2025)。 本研究によって示唆されるBayanshiree層およびJavkhlant層の哺乳類相は、これまで哺乳類化石が多産してきた風成層を主体とする地層に見られる多丘歯類が多産する傾向と対照的であり、中央アジアの海成層や河川成層を主体とした上部白亜系(Averianov and Sues, 2012)やモンゴル国の湖成層及 び湖起源の河川成層を主体とした下部白亜系(Lopatin and Averianov, 2017)と共通している。今後、より詳細な分類学的検討によりモンゴル国の上部白亜系における哺乳類相に理解を補完することで、上部白亜系のアジア大陸内陸部における生物相の包括的な評価に寄与することが期待される。