国民健康・栄養調査からみる日本人の野菜・果物摂取量の推移
佐藤 佳子・宮永 政光・汪 達紘
本研究では、日本人の野菜・果物摂取状況を検討するために、厚生労働省より公表されている「国民健康・栄養調査」の結果を基に1999-2018年までの日本人の野菜果物平均摂取量の推移、摂取目標値到達率について解析を行った。結果は、1999-2018年における野菜摂取量については男女とも各年代に大きな変化はなく、果物摂取量については男女とも各年代において減少傾向がみられた。近年では、男女とも各年代の野菜果物平均摂取量は摂取目標値を下回っており、野菜果物摂取目標値の到達率については男女とも各年代において40%未満であり、特に50歳未満の年代では野菜摂取目標値の到達率は30%未満、果物摂取目標値の到達率は15%未満であった。さらに「20歳未満」、「20-49歳」、「50歳以上」の年代別に1999-2018年の1日の野菜平均摂取量について解析したところ、男女ともに20歳未満群は最も少なく、年代の上昇とともに野菜摂取量の有意な増加が認められた。しかし、果物の1日の平均摂取量は、男女とも20歳未満群に比べ、20~49歳代の方が減少傾向が見られたが、50歳以上では増加傾向に転じている。今までの関連報告と今回の結果をもとに考えると、日本人の野菜果物摂取量の改善には、特に若年層の野菜果物摂取量を増加させることが重要であると考えられる。そのためには学校や家庭における野菜果物摂取習慣の育成、低価格の野菜果物の提供など、教育や行政や外食産業などが連携した介入プログラムの開発と実行が効果的であると考えられる。
岡山理科大学紀要
第56号 A
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