島根県隠岐道後に分布する隠岐帯苦鉄質変成岩類4試料の岩石学的研究を実施した.1試料は,カルシウムに富む輝石や斜長石など高温の変成作用を記録して,母岩のミグマタイト質片麻岩類の変成作用に関連する.一方,全4試料は二次的な緑泥石,緑簾石,カリ長石などを含み,緑色片岩相の変質作用を広域的に被っている.さらに,1試料では,細粒の自形なK-Na長石に富み,火山岩組織を残し,高温の変成作用を免れた可能性がある.今後は,苦鉄質変成岩類の定量的な変成温度―圧力条件やその年代および原岩の起源について検討することにより,北西アジアのテクトニクスを理解する.