本研究では,骨格筋に強い負荷を与えた際に起こる筋核数の増加を細胞培養系で再現し,細胞融合部位が決定されるメカニズムを明らかにする。さらに,成熟した筋線維に対して人為的に融合可能な部位を決定することで,筋線維と筋芽細胞の融合を誘導することを試みる。
骨格筋は収縮によって力を発揮し,運動,姿勢の保持,呼吸に必要な組織である。骨格筋の収縮能を担う筋線維は,筋芽細胞の融合によって形成され,筋肥大時には新たな筋芽細胞が融合する。筋細胞特異的な細胞融合に関する研究では,筋芽細胞同士の融合に比べ,成熟した筋線維への筋芽細胞の融合については理解が進んでいない。本研究では,培養細胞を用いて筋線維に筋芽細胞が融合する実験系を確立し,筋線維上で融合部位が決定されるメカニズムの解明を目指す。