溶連菌感染に起因する急性腎障害の一部は急速に進行して慢性腎不全になることがあるが、この増悪の機序は不明である。我々は溶連菌が産生する細胞溶解毒素SLOが血管内皮細胞を傷害し血管機能を変調させることを見出した。そこで本研究ではSLOによる腎血管内皮障害が腎血管機能を変調させることで急性腎障害を増悪させるという仮説の立証を目指す。SLOの腎血管に対する直接的な作用を検討するため、免疫系の影響の少ない摘出潅流腎と単離血管を用いて、血管運動機能と糸球体濾過量を決定する。また、モデルラットを用いてSLOの糸球体腎炎増悪活性を測定し、SLO誘発内皮障害を抑制する薬剤が糸球体損傷を抑制するか検証する。