人間を含む霊長類の多くは群居性動物として、さまざまな様態で群れ集い、平和的に、また時には敵対的/競合的に、他者と共に生きている。中でも人間は極めて多くの個体の共存を実現している。人間は、ペアや家族や共住集団といった対面的な共存をするばかりでなく、民族集団や国民、果ては全人類の共存までを「想像」することができる。こうした全地球的規模の多様な共存を根底で支えているのは、人間の社会的なあり方、すなわち高次の「社会性」にほかならない。本研究では「社会性」をめぐり、地域、文化、そして種をも超えて比較研究を展開し、「われわれはどこから来て、何者であり、どこへ向かうのか」という人類学の究極課題を問い直す。