【はじめに】
過剰な食塩摂取は、高血圧を引き起こす主要な危険因子であり、高血圧自体も死亡
リスクの増加と強く関連していることが知られている。しかし、食塩摂取量、高血
圧の状態、および全死亡率の複合的な関連性を、特に性別という観点から詳細に分
析した縦断的な疫学研究は不足している。
【目的】
日本に居住する成人を対象としたコホート研究において、食塩摂取量が高血圧の有
無や性別を介して全死亡率に与える影響を独立して検証すること。
【方法】
本研究には、石川県志賀町に居住する 40 歳以上の成人 3,743 名(男性 1,666 名、女
性 2,077 名)が参加した。ベースラインデータ(2013 年~2016 年)として、生活習
慣や病歴、および食事摂取量を評価した。参加者には 2013 年から 2023 年まで追跡
調査を実施し、全死亡率をアウトカムとした。多変量ロジスティック回帰分析を用
い、分析を「性別」および「高血圧の有無」で層別化して実施した。
【結果】
追跡期間中に 330 名(男性 179 名、女性 151 名)が死亡した。高血圧男性群におい
て高ナトリウム摂取量は、全死亡率の増加と独立して関連していた(オッズ比:
1.078; 95% CI: 1.016–1.145; p = 0.014)。高血圧を持たない男性群、および女性
群においては、高ナトリウム摂取量と全死亡率との間に有意な関連性は認められな
かった。
【結論】
高ナトリウム摂取量は、高血圧を持つ男性のみにおいて、全死亡率の独立した危険
因子であることが判明した。この結果は、食塩摂取による死亡リスクの増加が性別
や高血圧の状態によって差異があることを強く示唆している。したがって、高血圧
男性を対象とした、よりターゲットを絞った塩分制限などの実施が重要であると考
えられる。
【利益相反】
なし