動物たちは、自らの不調や異変を言語的に訴えることはできない。そのため、可視粘膜や体外に排出される体液の色情報は、看護動物の身体情報を表す一つの指標として重要な観察項目である。しかし、観察対象に対する色の表現や認識は、個々の動物看護師の主観によって異なるのが現状である。そこで本研究では、日頃観察を行う機会の多い、可視粘膜、尿および漿液に着目し、各観察対象に対するカラースケールを作成、その有用性を検討した。その結果、実用可能なカラースケール(Fleiss’ Kappa=0.52, P<0.001)を作成することができ、導入後は状態変化の把握や同じ認識での情報共有が概ね可能となった。また、導入前に色調の判断や情報共有が困難であった場面でカラースケールが役立ったことが確認でき、動物看護師全員がカラースケールの必要性を実感していた。よって、カラースケールの導入は看護動物の可視粘膜、尿および漿液の色の判断と情報共有に有用であると考えられた。