異なる炭水化物源が健常猫の糖代謝に与える影響について
上田 香織, 森 昭博, 左向 敏紀, 浅見 真帆, 山田 詩織, 佐伯 香織, 小田 民美, 丸山 夏輝, 生野 佐織, 秋山 蘭, 早川 典之
糖尿病猫の食事には血糖値を緩やかに上昇させる炭水化物の使用が好ましいが、炭水化物の違いが血糖変動に与える影響を検討した報告は少ない。そこで本研究では、異なる炭水化物(グルコース:Glc、マルトース:Mal、トレハロース:Tre、コーンデンプン:Corn)を健常猫4頭に給与し、血中グルコース、インスリンおよびNEFA濃度に与える影響を検討した。グルコース曲線下面積(Glucose-AUC0-10h)は、Tre食、Corn食と比較してGlc食、Mal食で有意に高値を示した。Insulin-AUC0-10hは全ての群間で有意差は認められなかった。また、NEFA-AUC0-10hは、Glc食、Mal食と比較してTre食で有意に高値を示したが、Corn食では有意差は認められなかった。コーンデンプンは血糖上昇およびインスリン分泌が緩やかであり、また、血中NEFA濃度の上昇が認められなかったことから、炭水化物代謝の不得手な猫にとっても利用率が高い有用な炭水化物源となることが示唆された。
ペット栄養学会誌
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https://doi.org/10.11266/jpan.20.2_122
http://id.ndl.go.jp/bib/028604966