炭水化物摂取量の違いが糖尿病犬の血糖値およびインスリン必要量に与える影響
木村友子, 秋山蘭, 兼田裕希, 上田香織, 丸山夏輝, 小田民美, 佐伯香織, 森昭博, 左向敏紀
食後の血糖上昇に最も影響を与えるのは炭水化物であり、摂取した炭水化物量によって追加インスリン療法を行い、食後の血糖値をコントロールするカーボカウントという方法が近年注目されている。そこで本研究では、炭水化物摂取量の違いが糖尿病犬の血糖値およびインスリン必要量に与える影響について明らかにすることを目的とし、速効型インスリン1.0 Uを注射することによって摂取できる炭水化物量、つまり犬におけるカーボカウントの算出について検討した。血糖値をリアルタイムで確認できる人工膵臓装置を糖尿病犬に接続し、コントロール食と高炭水化物食(コントロール食+コーンスターチ粉)を給与して、速効型インスリンによる連続的静脈内投与を行い、正常血糖範囲(血糖値80-120 mg/dl)を維持した。結果は、高炭水化物食のインスリン必要量はコントロール食と比較して増加し、速効型インスリン1.0 Uあたり炭水化物をおよそ12.7 g摂取できることがわかった。この炭水化物摂取量は糖尿病犬のインスリン効果値によって左右されるため、あらかじめ個体ごとのインスリン効果値を算出する必要があると考えられた。本研究より、食事中の炭水化物量は糖尿病犬におけるインスリン必要量の決定に関する重要な因子であることが示唆された。
ペット栄養学会誌
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81
85
https://doi.org/10.11266/jpan.18.2_81