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肥満は猫においてインスリン抵抗性を引き起こし2型糖尿病発症の原因の一つとされている。糖尿病猫の治療として初めに行われるのが食事療法であり、低炭水化物および高繊維の食事が推奨されている。食事療法で血糖管理が出来ない場合、ヒトでは経口血糖降下剤の服用が進められているが、獣医臨床において経口血糖降下剤を糖尿病猫に用いた報告は少ない。そこで、本研究では肥満猫に対して高炭水化物食を給与し、経口血糖降下剤であるα-グルコシダーゼ阻害剤(α-GI)3種類(アカルボース、ボグリボース、ミグリトール)をそれぞれ単回投与することで血清グルコースおよび血清インスリン濃度にどのような影響を与えるか検討した。血糖値の変動曲線では無投薬群と比較して投薬群で有意な変化は認められなかったが、グルコース曲線下面積では無投薬群と比較してアカルボース群とボグリボース群で有意に低値を示し、ミグリトール群でも低下傾向が認められた。インスリン日内変動および曲線下面積では無投薬群と投薬群で有意な変化は認められなかった。投薬群におけるグルコース曲線下面積の低下により、ヒトと同様に肥満猫においてもα-GIによる糖質吸収抑制作用があることが示唆された。 |