様々な動物と接する機会の多い獣医療従事者にとって、業務を行ううえで衣服や体に付着する動物由来の臭気成分の吸引は健康に影響を与える要因の一つとなり得るかもしれない。しかし、臭気やその客観的指標であるTVOC濃度を用いて個々の汚染度を評価した試みはこれまでに報告がない。そこで本研究では、動物病院に勤務する動物看護師を対象に、動物に接する前後の室内TVOC濃度を測定し、汚染度を示す指標となり得るかを検討した。結果より、個人が動物に接した後には、室内TVOC濃度が有意に高値を示すことが示された。さらに、これらの変動は対象者自身がにおいをどのように感じるかという感覚と一致しており、室内TVOC濃度を指標としてその変動を観察することは、対象者自身の汚染度を評価することに繋がると考えられた。