Al3BC3単相試料の合成と結晶構造
牧涼介, 松村峻汰, 前田朋之, 平初雄, 草野圭弘
Al-B-C系の炭化物の一つであるAl3BC3は,軽量かつ高温における機械的特性の劣化が小さいことから,高温構造材料として期待されている。本研究では,Al, B4CおよびC粉末を用いて単相のAl3BC3を合成し,得られたAl3BC3の結晶構造について詳細に検討した。得られた試料の電子回折パターンは,三方晶として計算したシミュレーションパターンの消滅則および回折強度が良く一致したことから,Al3BC3の結晶構造は六方晶(P63/mcm)ではなく三方晶(P<!--[if !msEquation]--> <!--[endif]-->c1)であった。XRDパターンは,a = 0.5909 nmおよびc = 1.5907 nmの三方晶(P<!--[if !msEquation]--> <!--[endif]-->c1)として指数付けすることができ,詳細な結晶構造モデルが得られた。ICP-AESの結果,得られた試料のAlとBの比率はAl:B=3:1であり,Al3BC3は定比化合物であることが分かった。また,Al3BC3の高分解能TEM像は本研究で得られた構造モデルによるシミュレーション像と良く一致し,本研究で得られたAl3BC3の結晶構造モデルは妥当であることを示した。
耐火物誌