Conference

Basic information

Name Kadekaru Sho
Belonging department
Occupation name
researchmap researcher code R000032212
researchmap agency Okayama University of Science

Title

愛媛県の離島に生息するネコから分離されたネコカリシウイルスの遺伝子解析

Author

西阪祐希、渡辺俊平、小野文子、藤井ひかる、嘉手苅将、小菊洋行、宇根有美、瀧野起一、竹内千春、竹内正剛、三木徹子、大川恵子、遠矢幸伸、石嶋慧多、奥谷晶子、前田健、森川茂

Journal

第70回ウイルス学会

Publication Date

2024/09/26

Invited

Not exist

Language

Japanese

学会講演(シンポジウム・セミナー含む)

Conference Class

Domestic conferences

Conference Type

Promoter

西村秀一

Venue

仙台国際センター

URL

Summary

【背景と目的】
ネコカリシウイルス(FCV)は、ネコに上部気道感染症を引き起こす原因ウイルスの一つである。愛媛県の離島において、2020年11月に重篤な感冒様症状を示す成ネコが複数頭発見され、同島の野ネコにおいて感染症が流行した。顕著な症状を示したネコは四国本島の動物病院に運ばれて受診された。そこで感染症の病因を特定するために、ネコ検体よりウイルス分離を行い、分離ウイルスの同定を試みた。

【材料と方法】

2020年12月までに動物病院を受診したネコ6頭(うち1頭は死亡)、および2021年1月に島で捕獲したネコ22頭から咽頭スワブを採取した。同スワブを材料としてCRFK細胞、fcwf4細胞、Vero/DogSLAM細胞を用いてウイルス分離を行った。培養上清よりFCV RNAの検出をRT-PCR法を用いて実施した。

【結果】
CRFK細胞を用いたウイルス分離の結果、24検体においてCPE(接種後早期の細胞円形化)が確認された。同様のCPEはfcwf4細胞でも観察された。FCVのORF2の部分配列を標的としたRT-PCRの結果、培養上清RNAの21検体においてFCV遺伝子が検出された。RT-PCR産物(669bp)の遺伝子配列を決定し、既知のFCV株配列と比較して分子系統樹を作成したところ、新たな系統群を形成した。さらに死亡個体より分離されたFCV株については全長遺伝子を決定したところ、上部気道感染症を示した個体からの中国分離株に最も近縁であった。

【考察】

近年、全身性の症状を伴う強毒全身性ネコカリシウイルス(VS-FCV)病が海外で報告されている。しかし本研究で検出されたFCV配列は既知のVS-FCV配列とは類似性が低く、VS-FCVとの関連は不明である。また西日本地域のネコから分離されたFCV全長配列の情報は蓄積がない。そこで現在、同地域の複数箇所のネコから分離したFCV株について遺伝子解析を進めているところである。