Conference

Basic information

Name Kadekaru Sho
Belonging department
Occupation name
researchmap researcher code R000032212
researchmap agency Okayama University of Science

Title

ペット用ウサギにおける虫垂炎の疫学的及び病理 学的検討

Author

尾崎 由麻、高見 義紀、中村 進一、嘉手苅 将、 宇根 有美

Journal

第166回日本獣医学会学術集会

Publication Date

2023/09/05

Invited

Not exist

Language

Japanese

学会講演(シンポジウム・セミナー含む)

Conference Class

Domestic conferences

Conference Type

Verbal presentations (general)

Promoter

Venue

東京農工大学(オンライン)

URL

Summary

【背景】ウサギはよく発達した虫垂を有する動物で、ヒトの虫垂炎モ
デルとして用いられてきた。一方、ウサギの自然発生性虫垂炎の報告
は少ない。本研究の目的はペット用ウサギの虫垂炎の疫学的および病
理学的特徴を明らかにすることである。
【材料と方法】虫垂炎として外科的切除された虫垂を病理学的、微生
物学的に検索し、発生要因となる因子について調査した。
【結果】症例は7 匹(雄4 匹、雌3 匹)で、緊急手術例5 匹(3 ~ 6 ヵ
月齢)、慢性例2 匹(20、121 ヵ月齢)。品種は6 匹がホーランドロッ
プ(HP)であった。癒着が6 匹、穿孔3 匹、術後死亡3 匹であった。
肉眼的に、急性例では虫垂全体の充血、腸壁の灰白色化を観察。慢性
例では虫垂の位置に大型膿瘍様腫瘤の形成がみられた。虫垂口・虫垂
の閉塞・狭窄はなく、しばしば虫垂は多量の腸内容を入れていた。病
理組織学的に、急性例では壊死性虫垂炎で高度な例では全層性の壊死
や炎症がみられた。慢性例の腫瘤は内腔に多量の壊死組織を入れた虫
垂であった。病巣には寄生虫や真菌は観察されず、虫垂内容の細菌検
査では全例で、Bacteroides 属細菌が検出されたが、明らかな病原性を
示す細菌は分離されなかった。
【まとめ】ヒトの虫垂炎は、様々な原因による閉塞や虫垂口狭窄によっ
て発生することが知られていて、ウサギにおいては実験的には虫垂閉
塞、自然発生性には寄生虫感染、Klebsiella variicola 関連虫垂炎が報
告されている。今回の検索では、急性虫垂炎は若齢個体で発生し、虫
垂の閉塞・狭窄や特定の病原体の関与なく発生し、明らかな品種偏向
があったことから、今後、虫垂の解剖学的形状や機能的な側面からも
検討する予定である。