Conference

Basic information

Name Kadekaru Sho
Belonging department
Occupation name
researchmap researcher code R000032212
researchmap agency Okayama University of Science

Title

栄養性心筋症を疑うヒトコブラクダCamelus dromedariusの心筋壊死の2例

Author

磯野拓己、中川真梨子、嘉手苅将、宇根有美

Journal

第12回日本獣医病理学専門家協会学術集会

Publication Date

2025/03/27

Invited

Not exist

Language

Japanese

専門研究会・委員会報告

Conference Class

Domestic conferences

Conference Type

Poster sessions

Promoter

Venue

いわて県民情報交流センターアイーナ

URL

Summary

【背景】栄養性筋ジストロフィーの代表疾患である白筋症はビタミンE:V-E、セレンの単独または両方の欠乏により、骨格筋や心筋の変性・壊死を引き起こし、肉眼的に筋組織の白色化を特徴とする。白筋症心筋型は急死した仔牛、子羊等みられる。一方、ラクダでも白筋症の報告はあるが、詳細な病理学的知見に乏しい。そこで、本研究では白筋症を疑ったヒトコブラクダ: Cd2例の心臓病変の特徴を明らかにし、白筋症心筋型と比較検討することを目的とした。【材料と方法】2例ともに同一の父母間の仔で、No.1は2023年出生、雌、約3ヶ月半、No.2は2024年出生、雌、約2ヶ月半で突然死した。いずれも常法に従い病理学的検索を行った。【結果】2例とも同一の病理所見を示し、心外膜面に斑状、褪色部が散在し、割面では、心底から心尖部まで、主に心外膜直下および心室中隔心筋に層状の白色病変が観察され心尖など一部では貫壁性に白変していた。病理組織学的に、心筋変性(横紋消失、好酸性化)、壊死・断片化、脱落および高度組織球浸潤。一部の心筋脱落部位には軽度線維化を伴っていた。また、び漫性に石灰沈着、うっ血、間質水腫を認めた。免疫染色で浸潤細胞の多くはIba-1陽性だった。なお、病原体や塞栓などは認められなかった。【考察】以上の病理学的所見が各種動物の白筋症心筋型と一致し、さらに、同一施設の同腹仔、発生年齢および臨床経過よりV-Eおよびセレン欠乏症(白筋症心筋型)を強く疑った。幼若Cdの白筋症は運動器障害を主徴とする骨格筋型よりも、突然死を起こす心筋型が多いとされ、その原因として、母乳からのV-E、セレンの摂取不足が原因と考えられている。白筋症の確定診断には、発症個体のV-Eとセレン値を測定する必要があり、さらに同施設の母ラクダを含めた同居個体の検査および飼養状況の検証が欠かせない。なお、ラクダの白筋症心筋型では顕著な組織球反応がみられることを把握しておくべきである。