Conference

Basic information

Name Kadekaru Sho
Belonging department
Occupation name
researchmap researcher code R000032212
researchmap agency Okayama University of Science

Title

ヌートリア(Myocastor coypus) のハーダー腺腺癌と頬部平滑筋肉腫の病理学的検索

Author

要田 莉穂、中村 進一、嘉手苅 将、佐藤 友俊、小林 秀司、久楽 賢治、宇根 有美

Journal

第167回日本獣医学会学術集会

Publication Date

2024/09/10

Invited

Not exist

Language

Japanese

学会講演(シンポジウム・セミナー含む)

Conference Class

Domestic conferences

Conference Type

Verbal presentations (general)

Promoter

Venue

帯広畜産大学

URL

Summary

【背景】ヌートリア(Myocastor coypus:以下、Mc) は南米原産の齧歯類
で、侵略的外来種100に選定され各地で分布を拡大している。また、
各種病原体のレゼルボアとして重要視されている。一方でMcの疾患
に関する報告は少なく、老齢個体にみられる疾患の報告は見当たらな
い。本研究では、飼育下老齢Mcに発生した腫瘍の病理学的特徴を明
らかにすることを目的とした。
【材料と方法】行動研究用に飼育されていた飼育歴5年以上のMc5 頭
(雄3、雌2)を病理学的に検索し、うち雌2頭の頭部に腫瘍の発生を
みた。症例1は左眼球突出、症例2は左下顎に腫瘤がみられ、死後画
像検査と病理学的検査を実施した。
【結果】症例1は画像検査で左眼窩内を占拠する腫瘤がみられ、剖検
ではハーダー腺領域に充実性腫瘤がみられた。病理組織学的に脂肪滴
をもつ腫瘍細胞が腺房状や充実性に増殖し、頭蓋内に浸潤していた。
症例2 は画像検査で左顎関節部に骨融解を伴う腫瘤がみられた。剖検
では同部位に3cm大の腫瘤がみられ、肺や肝臓など全身転移がみられ
た。病理組織学的に紡錘形から多角形の腫瘍細胞がシート状や束状に
増殖し、周囲組織へ浸潤していた。腫瘍細胞の核は卵円形から長円形
で両端鈍、核分裂指数は40 以上/10HPFで、多核の腫瘍細胞を多数認
めた。腫瘍細胞はα -SMAに陽性を示した。以上の所見より、症例1
をハーダー腺腺癌、症例2 を平滑筋肉腫と診断した。
【考察】ハーダー腺腺癌はマウスに比較的発生が多く、転移が少ない
ことや病理学的特徴はMcと一致していた。顎関節部の平滑筋肉腫に
関しては原発組織を含めてさらなる検討が必要である。Mcを含む大
型齧歯類での腫瘍発生状況の把握は不十分で、その他の齧歯類の腫瘍
との比較のためにも今後症例の蓄積が欠かせない。