本研究では,英国で開発された科学の文脈で認知的発達を促進し,論理的思考力の育成をはかるカリキュラムである CASE(Cognitive Acceleration through Science Education)に注目した。CASE は具体的準備,認知的葛藤,メタ認知,社会的構築,ブリッジングの5つを基礎理論としていた。これらがどう具現化されるかを検討したところ,構成主義の鍵となる五要素(個人的関連性,科学の不確実性,批判的な意見,共有された調整,話し合い)が機能すると考えられた。また,CASE の各レッスンの教師用ガイドを分析したところ,同様の結論を得ることができた。このことから,CASE は構成主義の授業デザインの要素を含み,理科における資質・能力の育成を促す教授学習方略が具現化されていると考察できた。よって CASE は資質・能力,ひいては21世紀型スキルの育成を図るカリキュラムの実績ある実例として現代的意義をもつと考えられる。