継続調査により、アルゼンチンアリの分布域が本州太平洋海岸沿いに拡大していることを確認した。そのうち、横浜で発見した小さな個体群を対象に、アリ道フェロモン成分Z-(9)-Hexadecenalと市販の殺蟻剤を併用して根絶を試み、成功した。ヒアリの侵入を防ぐため、検疫官でも容易に使える種同定法を開発するとともに、オオタバコガコマユバチが侵入アリの検出に有効であることを確認した。また、ヒアリの核型分析により、台湾などの侵入個体群では3倍体などの個体が異常に多いことを見出した。分子生物学的実験に適したトゲオオハリアリを用いてアリの性決定機構を研究し、feminizer遺伝子の発現などに関して重要な知見を得つつある。