2021年度は、川崎病急性期患者における血中HMGB1、HRG濃度の測定において大きな成果が得られた。予定していた人数で川崎病急性期患者における治療前と初回治療後の血漿検体採取が終了し、コントロールとして健常者の検体と血中HMGB1、HRG濃度の比較を行ったところ、川崎病患者では健常者に比べて血中HMGB1が有意に高値、血中HRGが有意に低値であった。さらに川崎病患者を初回治療反応群、不応群に分け、治療前後の血中HMGB1、HRG濃度の変化についても詳細な解析を行い、論文投稿の準備を進めている。
また川崎病モデルマウスの実験に関しては、Lactobacillus cell wall extract(LCWE)を作成し、マウスに腹腔内投与することで、川崎病様の冠動脈炎が惹起されることを確認した。しかし個体によって冠動脈炎の程度にばらつきが大きかったため、同様に川崎病冠動脈炎を惹起するCandida albicans water soluble fraction(CAWS)を用いるモデルについても検討を行った。CAWSを作成してマウスに腹腔内投与したところ、LCWEよりも安定してモデル作成ができることが明らかとなったため、以後の検討ではCAWSを腹腔内投与するモデルを使用することとした。