昨年度に作成した、アミノ基付きDiamond-like carbonを用いて、各種実験を施行した。アミノ基付DLCはかなり親水性が向上することが明らかになったが、親水性が最大となるアミノ基付加方法を開発し、現在論文作成中である。これまでの結果では、アミノ基付加により、想像以上に親水性が高くなっており、超親水性といえるレベルのDLCが作成されている。SEM観察で、アミノ基付加DLCでも通常のDLC同様平滑性が増していることが確認できている。また、アミノ基付加時にアンモニアプラズマを用いるが、それによる表面改変が当初問題となった。しかし、条件の調整後は表面は改変されていないことが確認できている。原子力顕微鏡での平滑性向上の証明、定量化も計画にいれていたが、ePTFEは多孔性で正確な測定ができないため、平滑性の確認はSEMでの観察にとどめることとした。ブタの頸動脈置換術、頸静脈置換術を施行し、3時間全血にIn-Vivo接触させ、DLCコーティングePTFE(通常のDLC)とコーティングのないePTFEを比較したが、共に血栓付着は殆どなかった。しかし、DLCはフィブリノーゲン付着がやや上昇していた。現在のところ、アミノ基付加DLCはアルブミン吸着減少、フィブリノーゲン吸着増加傾向を認めており、血液適合性の向上はアミノ基付加だけでは期待できないと考えている。アミノ基付加DLCが最も親水性となるよう最適化を行ったため、DLCの血液適合試験、細菌付着試験を行う予定としている。現在のところ、アンモニウム基付加人工血管は、表面の極性がニュートラルから外れるため、血栓付着が増える傾向にある予想している。親水性の向上がどのような影響をもたらすか?検討する。超親水性DLCとして特許申請も予定している。