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マラソン中に心停止を起こす確率は、日本人では10万人に2.07人ともいわれランナーの救命率向上のため、一次救命処置の普及・啓発やAEDの配備が重要であるとともに、事前のスクリーニングが重要とされている。今回、マラソン中の心拍および心電波形をモニタリングし、スクリーニングに活用できるか、致死性緊急症のリスクを予想しうるかについて検討することとした。対象はフルマラソンを走る市民ランナー20名、計測機器はタンクトップ型のウエアHitoe(東レ)、専用心拍計(docomo)、専用スマートフォンを使用し、フルマラソン中の心拍と心電波形を計測した。測定を実施した20名のうち、フルマラソン完走は15名、タイムオーバーによる棄権が5名であり、心疾患等なんらかの異常により救護される者はいなかった。解析は、途中で通信が途切れた1名を除く19名について実施し、いずれも安定したデータが収集できており、心拍の変動などを詳細に確認することができた。いずれのケースも測定時間内の有効波形率は高く、フルマラソンという強度の運動において心電波形を精度高く観察できることが確認された。マラソン中の心拍および心電波形をモニタリングすることで、スクリーニング活用できる可能性が示唆され、今後、モニタリングデータを活用した心疾患イベントの予測システムを構築するとともに、自己スクリーニングシステムの運用につなげていきたい。 |