【背景】近年、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の罹患者が増加しているが、線維化が進行した重症患者に対する有効な治療薬や、各病態ステージに特異的なバイオマーカーは見つかっておらず、NASH病態を再現する新たな研究ツールの開発が求められている。
【目的】そこで本研究では、NASHモデルマウスの肝臓組織由来のオルガノイドを作製し、NASH病態の進行とオルガノイドの形成能、組織形態、遺伝子発現パターンの相関を検討することで新規実験モデルとしての有用性を明らかにすることを目的とした。
【方法】6週齢のマウスにNASH誘発用飼料を4, 8, 12週間給餌し、進行度の違うNASHモデルマウス群(NASH A, NASH B, NASH C)を作製し、オルガノイド培養を行った。作製した各オルガノイドの形成効率を比較したのちに、炎症性反応、脂肪沈着、線維化を指標に各種解析を行った。さらに作製した各病態ステージのNASHマウス肝臓由来オルガノイドにおいて発現が上昇する新規遺伝子を探索した。
【結果】NASH Cオルガノイドでは上皮・間葉転換(EMT)様の上皮組織構造が観察され、コラーゲンの蓄積や、活性化星細胞マーカーであるα-SMA発現の上昇が認められた。また、オルガノイドの形成効率は、NASH Aのオルガノイドで上昇し、NASH B、NASH Cのオルガノイドで低下することが示唆された。さらに、各病態ステージのオルガノイドにおいて特異的に上昇する遺伝子や、全ステージのオルガノイドで発現が高い遺伝子を同定した。
【総括】NASHモデルマウスの肝臓由来オルガノイドが、NASHの線維化病態を培養ディッシュ上で再現することが明らかになった。また、今回発現が上昇した遺伝子が新規バイオマーカーとなる可能性が示唆された。