窒素内包フラーレン
物質中の準孤立原子が競合的に共鳴的発光をする超放射(SuperRadiance: SR)には多くの候補系が有り、窒素原子を内包した炭素フラーレンC60もマトリックスの可能性がある。フラーレンはもし数密度が高くなれば、フラーレン自体を構造ユニットとするフラーレンクラスターと呼ぶ結晶を作る。シンプルな例はC60のsc相やfcc相である。フラーレンの内部あるいはフラーレンの間隙に、特定の外殻電子構造を持つ原子や分子を保持する構造体は、アルカリ金属を内包した(Li@C60)のように超伝導性を示し、あるいはランタノイド、遷移金属、プニコゲン元素などを含むクラスレートやスクッテルダイト化合物のような構造体は、独特の熱特性をもたらすラットリングフォノンによって熱伝素子(フォノングラス)の可能性を持つ。我々は、N@C60のSRの可能性を知るために、その励起状態のエネルギー準位を知ることを目的とする。