スポーツ現場における国内情報戦略専門スタッフの実態調査
廣澤 聖士, 下関 元, 橋場 智子, 鈴江 智彦, 高林 諒一, 久永 啓, 永野 智久, 千葉 洋平, 渡辺 啓太
スポーツ現場では競技力向上のため様々な情報を活用する重要性が高まっており,情報戦略専門スタッフの需要も増加している.一方,国内関連人材の実態について詳細な報告はされていない.本研究は,国内情報戦略専門スタッフの属性・雇用・活動・業務状況の把握を目的とし,スポーツ現場で選手の競技力向上のために情報を活用している者を対象に,SNS を用いた機縁法によるアンケート調査を実施した.得られた295 名分の回答について,情報戦略群と他職種群に分け比較検討した結果,情報戦略専門スタッフの特徴として,20 代から30 代前半の男性が競技力の高いチームや選手を対象に活動しており,フルタイムに近い労働形態で年収は国民平均と同等であった.また,選手個人だけでなくチームに対して長期的な目的で情報を活用しており,スポーツ用映像分析ツールを用いた情報収集・分析・レポーティングが標準的な業務であった.一方,関わる競技の種類やカテゴリーは限定的であった.また,情報戦略専門スタッフの呼称としては,アナリストが多く用いられていた.本研究から得られた結果をもとに,専門人材の普及,発展のためのさらなる知見の蓄積が期待される.
スポーツパフォーマンス研究
15巻
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