クラドニ図形は板状の物体の固有振動の節を可視化したものであり、科学教育の教材として有用である。クラドニ図形の生成には正方形や円形の金属板が用いられることが多いが、今回は市販のステンレス製のトレー(もしくは皿)を使用した。ステンレストレーを用いる利点は、様々な形状の均一性の良い板材を手軽に入手可能であること、トレーの縁が固定端の役割を果たすとともにクラドニ図形を生成する粉体の飛散を防いでくれることである。具体的には、円形、楕円形(小判皿)、正方形のステンレストレーの縁を4つ(もしくは2つ)のジャッキの上に載せ、トレーの上に食塩の粒を撒いた。発信機に接続したスピーカーをトレーの下に配置し、発信機の周波数とスピーカーの位置を変えることで、様々なクラドニ図形を生成することができた。円形トレーを用いて生成したクラドニ図形は原子軌道の断面図に類似しており、量子力学の教材としても利用可能である。