講演・口頭発表等

基本情報

氏名 片山 誠一
氏名(カナ) カタヤマ セイイチ
氏名(英語) Katayama Seiichi
所属 生命科学部 医療技術学科
職名 教授
researchmap研究者コード 1000052332
researchmap機関 岡山理科大学

タイトル

フィブロネクチンの構造変化が与えるウェルシュ菌へのフィブロネクチン結合の影響

講演者

青野りよ、 岡部加奈子、櫃本泰雄、片山誠一 、 松永 望

会議名

第36回生物試料分析科学会年次学術集会

開催年月日

2026/03/08

招待の有無

無し

記述言語

日本語

発表種類

学会講演(シンポジウム・セミナー含む)

会議区分

国内会議

会議種別

口頭発表(一般)

主催者

生物試料分析科学会

開催地

香川県高松市(サンポートホール高松)

概要

「はじめに」ウェルシュ菌 (Clostridium perfringens)は、ヒトに対して食中毒やガス壊疽を引き起こす病原細菌である。ウェルシュ菌がヒトに付着・定着する際、フィブロネクチン (Fibronectin; Fn)を介してコラーゲンに結合すると考えられている。
Fnは、血漿中や組織中に存在する細胞外マトリックスタンパク質であり、創傷治癒、組織構造形成、細胞遊走などの細胞プロセスで重要な役割を果たしている。Fnは、pH変化やイオン強度の違いにより構造が変化し、高イオン強度条件下では伸長構造を、低イオン強度条件下ではコンパクトな構造をとることが知られている。
Fnは複数の受容体のリガンドとして機能するため、細菌の標的となっており、多くの細菌でFn結合タンパク質 (Fn-binding protein; Fbp)を持つことが報告されている。私たちは、これまでにウェルシュ菌の細胞壁分解酵素であるオートリシンAcpがFbpであることを明らかにした。
Acp分子は、シグナルペプチド、タンデムに並んだ10個の細胞壁結合ドメイン (cell wall-binding repeats; CWBRs)、C末端側にグルコサミニダーゼ活性を有する触媒ドメイン (Acp catalytic domain; AcpCD)を含む領域から構成される。私たちは、これまでに生理的条件下でFnが遺伝子組換え体AcpCD、および8つのCWBDと1つのAcpCDを含む遺伝子組換え体AcpCWB3-10+CD (rAcpCWB3-10+CD)に結合することを明らかにした。
本研究では、異なる構造状態のFnがAcp、および蒸発乾燥固定したウェルシュ菌を認識するか否かを調べた。
「方法」
対数増殖期まで培養したウェルシュ菌を生理食塩水で洗浄後、吸光度600 nmの値が1となるように調整した。この菌懸濁液をEIAプレートの各ウェルに100 µLずつ分注し、37℃で48~72時間静置してウェルシュ菌を蒸発乾燥固定させた。
rAcpCWB3-10+CDとrAcpCDをEIAプレートに固相下した後、各イオン強度50, 140, 250 mmol/L食塩溶液中に調整した Fn (0.3-5 µg/well)を反応させた。Fn結合量は、波長405 nmにおける吸光度として測定した。
「結果」
rAcpCWB3-10+CDに対するFn結合は、どのイオン強度下でもFn濃度依存的に増加した。特に、低イオン強度下では、Fnは高イオン強度下、生理的条件下と比較して有意にrAcpCWB3-10+CDに結合した。一方、rAcpCDに対するFn結合は、どのイオン強度下でも低濃度のFnで飽和状態となり、それ以上の濃度増加に伴う結合量の増加は認められなかった。
蒸発乾燥固菌に対するFn結合は、rAcpCWB3-10+CDに対するFn結合と同様にイオン強度、およびFn濃度に依存して増加した。
「考察」
rAcpCWB3-10+CDに対するFn結合パターンは、蒸発乾燥固定菌に対するFn結合パターンと類似した。この結果から、蒸発乾燥固定したウェルシュ菌の主要なFnレセプターは、生きた菌と同様にAcpであると考えられた。また、蒸発乾燥固定菌に対するFn結合は、Acpの触媒ドメインとCWBRの双方が関与している可能性が示唆された。