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全身麻酔による周麻酔期合併症の一つに低体温がある。その予防策の一つとして加温輸液の投与が知られているが、全身麻酔下にある動物の体温に対する加温輸液の効果を検討した報告が実際にはほとんどない。本研究では、全身麻酔下のイヌに小動物専用輸液加温器 (F-CARE) あるいは、従来型の乾式電気輸液加温器 (ANIMEC) を用いた静脈内加温輸液 (10 ml/kg/h) が直腸温へ及ぼす影響を検討することを目的とした。プロポフォールによる麻酔導入後、イソフルランによる吸入麻酔を維持し、直腸温を麻酔維持開始直後から吸入麻酔薬の投与終了1時間後まで5分ごとに記録した。いずれの輸液加温器を使用した加温輸液投与も直腸温の低下を有意には抑制しなかった。しかしながら、F-CAREを用いた加温輸液はANIMECの場合と比較して、直腸温の低下を小さくする傾向が認められた。さらに、直腸温が37°Cまで回復するまでに要した時間およびシバリングの持続時間も短縮される傾向が認められた。 |