日本では、形状やサイズが規格外であることや認知度の低さなどを理由に、多くの水産物が未利用のまま廃棄されている。こうした廃棄の削減は、フードロスの低減や地域漁業の持続可能性向上に寄与すると考えられる。本研究では、ヒト向け食品企業のペットフード分野への参入支援および未利用水産資源の有効活用を目的として、産学連携により開発された6種類の試作フードを対象に、イヌの嗜好性試験およびヒトによる印象評価を実施した。その結果、いずれの試作フードにおいてもイヌが摂取を拒否する例は認められなかった。特に「ブリとダイコン」では摂取完了までの時間が有意に短縮され、「クロダイのシチュー」では摂取時間が短縮される傾向が認められ、比較的高い嗜好性が示唆された。一方で、外観やにおいに関するヒトの評価は、必ずしもイヌの嗜好性と一致しない場合があった。本研究で用いた試作フードはいずれも、ヒト向け食品と同一の衛生基準のもとで製造されたヒューマングレード製品である。このような製品設計は、ペットフードの安全性および品質に関する透明性の向上に寄与すると考えられる。本開発は、未利用水産資源に新たな付加価値を付与するとともに、ヒト食品とペットフードをつなぐ新たな取り組みとして意義を有する。