再生医療や創薬研究に培養細胞の利用が期待される一方、深刻なクロスコンタミネーションやマイコプラズマ感染などが頻繁に報告されている。安全かつ高品質な培養細胞を維持し科学的に安定した結果を得るためには、一定の基準を満たした細胞培養技術が必要である。日本組織培養学会では培養技術の標準化を進め、基盤技術の普及活動の一環として、細胞培養の技術講習会である「細胞培養基盤技術コースI・II・III」を開催して細胞培養士の育成を行ってきた。
初級編である細胞培養基盤技術コースⅠでは細胞培養の基本を理解し、細胞株を適切な方法で培養できることを目標に、実際の講習では講義による説明と株細胞を用いた培地交換、播種、継代、凍結保存などについての実習を行う。中級編のコースIIは細胞の品質管理と細胞を用いたアッセイが行えることを目標に、さまざまな細胞評価法と細胞の毒性試験の講義と実習を行う。さらに上級編のコースIIIでは、自立して細胞培養を行うための基本的知識と研究倫理について講義を受けた後、細胞培養士認定試験を実施している。この認定試験に合格した会員を、日本組織培養学会が細胞培養士に認定している。
本セミナー講演では日本組織培養学会の細胞培養士認定制度の概要と細胞培養基盤技術コースを中心とした細胞培養技術の教育プログラムについて紹介する。さらに細胞培養技術の標準化を進めるために、今後どのような取り組みを進めるべきかについて議論したいと考えている。