津波氾濫流は土砂を含むことで密度が増加し,それに伴い水平力・鉛直力も増加することが明らかにされている.したがって,河川遡上津波に関する水路実験をおこなう上で,土砂を考慮することは重要といえる.本研究では2種類の土砂を用いて河川遡上津波を再現し,河川遡上津波が構造物へ与える影響や構造物を考慮した土砂移動に関する水路実験を行った.その結果,以下の3点を明らかにした.(1) 構造物周辺の土砂は洗掘されるが,構造物があることで構造物以降は堆積する土砂層厚の変化が小さい傾向がある.(2) 氾濫水密度は粒径の小さい砂が海側,粒径の大きい砂が川側にあるときの方が大きい.(3) 構造物の前面に作用する波力についても,粒径の小さい砂が海側,粒径の大きい砂が川側にあるときの方が大きい傾向がある.