本研究の調査地域周辺は,過去に1804年象潟地震や1833年庄内沖地震による津波の影響を受けたことが知られているが,その影響範囲等の詳細はわかっていない.本研究では,採取されたボーリングコア試料から,湿地や氾濫原に堆積した泥炭や有機質シルトを主体とした細粒堆積物中に,砂を主体としたイベント堆積物が複数みいだされた.それらイベント堆積物のいくつかは津波堆積物と解釈される.また,それぞれの地域から見出された津波堆積物の形成年代は,14C年代測定値からにかほ市のものが12~13世紀および14~15世紀以降,一方,遊佐町のものは17世紀以降と解釈する.