本研究の目的は,新型コロナウイルス禍におけるカープファンの心理状態を明らかにすることと,ウイルスなどの感染拡大の影響を受けて従来通りの球団経営をすることが困難となった際にカープが立てるべき経営戦略を示唆することであった.そして,分析の際には,カープファン独特の心理状態を明らかにするために,カープ以外のファンの調査結果との比較を行った.本研究では次の3点を明らかにすることができた.1点目は,カープファンとカープ以外のファンの調査対象者における性別の比率の違いから,カープファンには多くの女性ファンが存在している可能性が高いことが推測されたことであった.2点目は,カープファンの方が,プロ野球のシーズン開幕が遅れたことや試合数が減少したことなどで,私生活に悪影響が出たことであった.3点目は,カープファンの方が新型コロナウイルス禍以前の従来の観戦環境を望んでいることであった.
また,上記の結果を踏まえて,今回のようなウイルスなどの感染拡大の影響を受けて従来通りの球団経営をすることが困難となった際に,カープが立てるべき経営戦略についても次の3点を示唆することができた.1点目は,テレビやSNSなどで今までの印象的な試合やプレーの放送・配信を増やすことである.2点目は,カープや個人選手の応援歌を耳にする機会を増やすことである.3点目は,外出しにくい状況(特にリモートワークなどで生活する時間が増加する可能性の高い場所)でも使用できる商品をECサイトで販売する,もしくは今後の新たなウイルスなどの感染拡大に備えて商品の候補を挙げておくことである.