本研究では、2014年度シーズンの観戦回数が1回以上の全国の広島東洋カープファンを対象として、観戦動機を調査・分析し、球場で観戦する際にどのような因子が重要視されているのかを明らかにした。そして、各因子から抽出された傾向をもとに、カープファンの特徴を明示し、今後の経営戦略の一端を考察した。その結果をまとめると次の通りである。
「達成」や「エンタテインメント」の得点は、性別や観戦回数に関係なく高い傾向にあった。ファンである球団の勝利から得られる達成感や野球観戦の楽しさ・娯楽性(エンタテインメント)が観戦動機として重要であることがうかがえた。また、「逃避」、「知識」、「交流」、「所属」については、あまり高い得点を示さなかった。日常生活から逃避することや野球の知識を得ること、野球観戦を通して友人と交流を図ること、球団との結びつきを感じることなどの要因は必ずしも重要な観戦動機とはならない可能性が推察された。