Metagonimus 属吸虫は生活環において複数の宿主
を利用し,最初に淡水生巻貝,次いで淡水魚類を中間
宿主とし,哺乳類や鳥類を最終宿主とする.野外の魚
類群集において,中間宿主となる淡水魚類の寄生に関
する知見は限定的である.本研究では,岡山市内の用
水路に分布するタナゴ亜科魚類3種(ヤリタナゴ・アブ
ラボテ・カネヒラ)を対象として,本属の吸虫がどの種
を宿主として利用しているのかを解明するため,野外調
査を実施した.その結果,3種の中ではカネヒラにおけ
る被寄生個体の出現率が他の2種よりも高く,カネヒラ
に対する吸虫の宿主選好性が高いことが示唆された.