モンゴル国ゴビ砂漠上部白亜系土壌性炭酸塩岩のカルサイ トU-Pb年代測定
藤井雄大, 青木一勝, 千葉謙太郎, Kh. TSOGTBAATAR, Bu. MAINBAYAR, Ba. BUYANTEGSH, 実吉玄貴
日本地質学会第131年学術大会
日本地質学会
山形大学
モンゴル国ゴビ砂漠に分布する上部⽩亜系は、保存の良い脊椎動物を産出し、これまで数多 くの古⽣物学的‧地質学的研究がなされてきた。⼀⽅で、鍵層となり得る⽕⼭灰層や微化⽯ による⽣層序の⽋如などにより、化⽯産地に分布する上部⽩亜系の層序関係や地質年代の特 定が困難であった。この問題を解決するため、近年、現地性カリーチ中の⽅解⽯や、恐⻯の ⻭化⽯を構成する燐灰⽯に対するU-Pb年代測定法を⽤いた、モンゴル上部⽩亜系の地質年代 学的研究が⾏われている(Kurumada et al.2020; Tanabe et al.,2023)。しかし、こ れら年代測定法を⾏う際の試料選定が⾮常に難しい。そこで本研究では、これまでカルサイ トU-Pb年代が報告された化⽯産地に近接し、かつ現地性のカリーチが採取可能な地層を対象 に、本⼿法に適した試料の選定について議論する。ゴビ砂漠東部に分布する上部⽩亜系 Baynshire層の模式地である Bayn Shireは、モンゴルにおいて初めてカルサイトU-Pb年代測 定が適⽤されたKhongil Tsav(Kurumada et al.2020)より20 km南部に位置し、地層は主 に砂岩や泥岩からなる河川堆積物で構成される。本研究では、分布する地層の最上位より採 取されたカリーチを測定対象とした。⼀般的な⼟壌性炭酸塩岩の場合、地表付近の地下⽔が 蒸発する際にカルサイトを晶出すると考えられている。対象としたカリーチは、氾濫原堆積 物の最上位層で、かつ直上に河道堆積物が累重することから、現地性のカリーチと判断され る。偏光顕微鏡観察から、本試料は主に⽯英や⻑⽯類などより構成される砕屑物の粒⼦間を 多結晶カルサイトが充填し、⼀部に単結晶カルサイトも存在することが確認された。顕微鏡 下で年代測定の箇所を選定した上で、LA-ICP-MSを⽤いた年代測定を実施した。本発表で は、測定結果を報告し、その結果に基づいて試料選定や測定箇所の選定について⾔及する。