講演・口頭発表等

基本情報

氏名 實吉 玄貴
氏名(カナ) サネヨシ モトタカ
氏名(英語) Saneyoshi Mototaka
所属 生物地球学部 恐竜学科
職名 教授
researchmap研究者コード B000360061
researchmap機関 岡山理科大学

タイトル

モンゴル国ゴビ砂漠東部に分布する上部白亜系脊椎動物化石産出層の炭酸塩U-Pb年代測定

講演者

藤井雄大・青木一勝・千葉謙太郎・ Khishigjav TSOGTBAATAR・Buuvei MAINBAYAR・Batsaikhan BUYANTEGSH・実吉玄貴

会議名

日本地質学会 西日本支部 令和7年度総会 第176回例会

開催年月日

2026/02/22

招待の有無

無し

記述言語

日本語

発表種類

専門研究会・委員会報告

会議区分

国内会議

会議種別

ポスター発表

主催者

日本地質学会 西日本支部

開催地

岡山理科大学,岡山

URL

概要

モンゴル国ゴビ砂漠の中生代以降の地層からは、恐竜類を含む多様な脊椎動物化石を産出する。これらの化石群をゴビ砂漠内および世界各地の化石産 地と古生物学的な議論を進めるためには、正確な層序関係の理解と信頼性の高い堆積年代の解明が不可欠である。しかし、これらの地層の多くは陸成層から構成され、時空間分布が不連続で、かつゴビ砂漠全体に広く分布する。さらに、火山灰層が乏しく、一般的な年代測定法や微化石層序による堆積年代の制約が極めて困難である。このため、多様な脊椎動物化石産出層の層序関係および堆積年代の解明は、長年にわたり重要な課題とされてきた。近年、土壌性炭酸塩岩(以下、カリーチ)中の方解石を対象としたLA-ICP-MS U-Pb年代測定法が適用され、ゴビ砂漠の上部白亜系においてもその有用性が確認されている(Kurumada et al., 2020)。カリーチはゴビ砂漠全体に普遍的に分布し、上部白亜系の分布する化石産地からも報告されている(Watabe et al., 2010)。 したがってこれらを活用できれば、詳細な堆積年代の制約や層序関係に寄与できる。そこで本研究では、モンゴルに分布する上部白亜系の一つである Baynshire層の模式地Bayn Shire 地域を対象に、同手法を適用し堆積年代の推定と試料間比較を行った。 Baynshire 層は生層序および基底玄武岩の K-Ar 年代測定により、セノマニアン期-サントニアン期の堆積とされる(Jerzykiewicz and Russell, 1991; Shuvalov, 2000)。すでに一部化石産地から、方解石 U-Pb 年代測定により約 90 Ma の年代値が報告されている(Kurumada et al., 2020)。本研究で用いた 試料は 2022 年および 2023 年の岡山理科大学–モンゴル科学アカデミー古生物学研究所の合同調査隊により採取された、現地性のカリーチおよびサンドパイプ型の生痕ノジュールである。 微細構造観察の結果、主に石英および長石からなる砕屑性粒子の間隙を充 填する方解石が確認され、ミクライトからスパライトまで多様な組織を示した。また、多くの微細構造は非生物起源であり、直径 1–5 mm 程度の球状から亜球状を呈するノジュールの発達が認められた。その一方で、一部に生物起源 と思われる構造や、部分的に二次的な亀裂や粘土鉱物の集積も認められた。さらに、一部試料についてはラマン分光法および EPMA 分析を行い、純粋な方解石から構成されていることを確認した。年代測定の結果、2 試料から既知の推定堆積年代に近しい値を得ることができた。一方で、他の試料は初期鉛の影響が大きく、年代値を算出できない場合 や、推定堆積年代よりも著しく若い値を示す場合を認めた。年代値が得られた 2 試料は 238U/206Pb 比が低いものの、誤差範囲内で相互に整合的であることから、初期続成段階に形成された方解石の形成年代を反映していると解釈され る。これらの結果は、周囲に亀裂や粘土鉱物の広がりが認められず、かつ母岩基質と同等の鉱物組成および粒径分布を示す方解石ノジュールは、初生的な 情報を保持しており、堆積年代の制約に適した試料であることを示唆する。