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本事例では、背側椎弓切除術を目的に全身麻酔を施されるラブラドール・レトリーバーに対し、温風式加温装置を用いた体温管理が実施された。術後1日目より右後肢足根部に浮腫を呈し、痛みの兆候が認められた。鎮痛薬の投与によって痛みは軽減したが、手術部位との関連も認められず、その原因は特定されなかった。術後4日目には、腫脹の悪化や発赤、熱感を呈し、冷罨法が実施された。症状および痛みの兆候が消失したのは術後8日目であった。症状と経過より、低温熱傷と診断された。これは、手術時の体位によって生じた末梢循環障害と、必ずしも適切でなかった加温装置の使用方法に起因した過剰な加温が複合的に組み合わさった結果であったと考えられた。周麻酔期に関与する動物看護師は、体温管理に関わる装置を適切に使用することに加え、全身麻酔下にある動物の皮膚の状態を常に確認し、低温熱傷の予防およびその兆候の早期発見に努める必要があると考えられた。 |