九州の霧島山系に 1 集団しか生育していない絶滅危惧
種ノカイドウの遺伝的多様性を 12 種類のマイクロサテラ
イトマーカーにより解析した.自生株の 288 個体と自生
地から移植した 15 個体及びえびの市内の 3 個体と伊佐
市の 1 個体の栽培個体を合わせた 307 個体を解析した結
果,306 個体の遺伝子型はほぼ同一であった.自生個体
のうち,9 個体はいずれか 1 つのマーカーで 1 つのピー
クのみが異なり,また,2 つのマーカーで 2 つのピーク
が異なる個体が 1 個体あった.栽培個体のうちの伊佐市
の 1 個体のみは複数のマーカーで異なるピークを示し,
さらに一部のマーカーは全てのピークで異なるため,交
雑由来の個体と考えられる.これらの結果に基づき,現
存するノカイドウの在来個体のほぼすべてはクローンで
あると推定される.今後,本種の生殖システムを明らか
にし,遺伝的多様性のさらなる損失を防ぐための保全計
画を策定する必要がある.