本報告では、鎮痛薬としてフェンタニルあるいはモルヒネを用い、術後にそれらオピオイドの投与による顕著な有害反応を呈した2事例について概要を報告する。事例1は左側片側椎弓切除術を実施したミニチュア・ダックスフンドで、麻酔および疼痛管理にフェンタニルが用いられ、術後に著しい流涎と徐脈を呈した。事例2は膀胱切開を実施したシー・ズーで、鎮痛薬としてモルヒネが投与され、術後に流涎、体温の低下および徐脈を呈した。流涎が続く間、清拭およびエリザベスカラーへのペットシーツの装着を行い、乾燥と清潔を維持できるように口腔周囲の被毛を管理した。低体温に対しては、低温熱傷の危険性に配慮した上で、ヒートマットを使用した。徐脈については、心拍数および血圧の測定、可視粘膜の観察を継時的に行った。これらの看護介入により、いずれの事例においても、入院中の患者動物の清潔、体温と循環機能を安全に維持することができた。(著者抄録)