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鳥取県では2013年から公共牧場での牛ウイルス性下痢ウイルス(BVDV)まん延防止対策として,RT-PCRによる全入牧牛のBVDV検査を実施している.RT-PCRによる検査は多くの時間と労力を要するため,Erns捕捉ELISAキット(抗原ELISA)の導入を検討した.BVDVの持続感染(PI)牛血清22検体及びBVDV急性感染牛のペア血清を用いてELISAを実施した結果,PI牛血清22検体はすべて陽性,急性感染牛のペア血清は陰性となった.また,PI牛1頭を含む646頭の野外血清を用いた場合もPI牛1頭のみ陽性,ほかはすべて陰性となった.一方,血中抗体の影響を調べる目的でPI牛血清に抗BVDV抗体陽性血清を混合した検体を用いたところ,抗体価128倍以上の場合にELISA結果が陰転する例が確認された.これらの成績から,移行抗体を保有する子牛の検査には注意が必要であるが,特異性が高く,手技が容易な抗原ELISAはBVDVのスクリーニング検査に有用であると考えられた. |